「ん・・・・・・」
信華が目を覚ます。
「おはよう信華。」
目の前にいたのは兼也だった。体に激痛が走る。それでも痛いからだをなんとか起こしあたりを見回した。
「ここ…??…ぁ!!!俺崖から落ちてっ!!」
思い出した信華が言う。確かに崖から落ちた。なら近くに崖があってもいいが見当たらない。その前にここは冥土…死後の世界なのだろうか…
「かね…や…ここ…何処・・・???」
兼也が振り向く。顔には傷があったし、服もボロボロだった。兼也は笑顔で…そしてしばらくしてから顔を引き締めて言った。
「ごめん。わからない…ただ…」
困った顔の中に探求心が見える。
「ただ??????」
「考えられるのは…@冥土A夢だった…あるいは夢である…」
兼也は二つの例をだしたが、なかなか納得の出来る答えは見つからない。なにしろその二つには無理がある。冥土説はあまりにも信じがたい。もしそうだと言うなら、冥土は日本風なのか…つまりいま彼らがいる周りはまるで日本…それも彼らが知る限りえ表せば水戸黄門。つまり京の町並みそのままであった。夢…ならばいったいいつからが夢でどこまでが現実だったのか。やはりあまり有力な考えではない。とするとここは一体……。
「とりあえず聞き込み???」
兼也が信華の顔をのぞいて言った。ここは何処か。まず解決すべき点はそこであるのだ。

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「外界!!??」
「ええ。おそらく中国の糸蘭崖(しらんがけ)からの入国かと。」
声は二人。幼い女性の声と、少し大人びた男の声。
「では彼らは今日本に?????」
「ええ。しかも時代をさかのぼっています。」
「そう・・・ですか…では空砕を出すべき…でしょうか。」
「ええ。しかし厄介なことが…実は彼らだけではありません。他に3人」
「・・・・・・」
「恐らく彼ら全員能力者かと。」
「そうですか…夢が…とうとう現実に…なってしまうんでしょうか…」
「…夢卵は現実です…様子を少し見ましょうか…」
「そうですね。くれぐも失礼のないように…何事も事の始まりが大切ですから…」
「御意。」

       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「明治!!??」
絶叫をあげたのは信華。
「まさか…中国にしても日本にしても風景が変だとは思ったけど…ありかよ…」
兼也さえも驚く事実。そう。彼らが落ちた…いや。堕ちた先は日本の…明治であったのだ。


 そうして彼らは明治の世界へと飛ばされた。それがいったい何故なのか。彼ら…いや誰が考えても理解できないことだった。
 そうして彼らがこの世界に飛ばされてから約2ヶ月がたつ。あれから道で困っていた彼らは奏宇(そうう)と言う道場の師範に助けられその道場で稽古を受けている。奏宇は彼らに聞くことはなかった。兼也が聞くと奏宇はやだ『理由は聞かない。きいてもいいことなんざねえさ。』それだけをいつも言った。彼いわくそこの道場は裏として『かくまい場所』である。つまり厄介事をもっている人物をかくまったりするらしい。そんな人物に彼らは助けられたのだ。 
   
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